強制執行の流れを知ろう!家賃滞納による明け渡し訴訟の手順と方法


家賃滞納などによる物件の明け渡し、給料の差し押さえなど、強制執行は債権を確実に回収する手続きです。強制執行は法律や国によって強制的に債権を回収します。債権の返済がおこなわれ請求権を持つ人が泣き寝入りをしないための制度といえるでしょう。

強制執行の手続きや方法を知ることは、債権が回収できなくなったときのためのリスク管理になります。債権を回収する可能性は誰にでもあるため、しっかりとした知識を得ることが大切なのです。

  1. 強制執行の基礎知識
  2. 強制執行の流れについて
  3. 強制執行はどうやっておこなう?
  4. 強制執行の補助について
  5. 家賃滞納の強制執行でよくある質問
  6. まとめ

強制執行は、非常に強力な法的手段です。国や法律の力で強制的に債権を回収するための最終手段といっても良いでしょう。

債権の回収にとって非常に役立つ強制執行ですが、訴訟や各種手続きなど非常に複雑です。非常に大きな強制力がある反面、強制執行は“気軽に利用できる制度”とはいえません。しかし、手続きをおこなえば、確実に債権を回収できるという強みもあります。

強制執行の流れや方法を知ることは、自分の財産や権利を守る方法なのです。家賃滞納や借金の返済遅延など債権回収が必要な可能性がある場合には、強制執行の知識を身に付けることが大切になります。

強制執行に必要な訴訟や各種手続きの詳細について詳しくご紹介しましょう。

1.強制執行の基礎知識

1-1.強制執行とは?

強制執行は、債権回収の際におこなう司法手続きです。一般的には“差し押さえ”と呼ばれる手続きで、法的に非常に強力な強制力があります。強制執行は「財産を差し押さえ強制的に債権回収する手続き」といえるでしょう。法律上の制度であることから少々難しい用語が数多くあります。強制執行に関する用語について簡単にご紹介しましょう。

【債権】

債権は一定の行為や給付を請求するための権利です。金銭だけではなく行動に関しても請求できるのが債権の特徴といえるでしょう。家賃滞納による明け渡し請求も債権回収の一つなのです。

【債権者】

債権を請求する権利のある人を債権者といいます。

【債務者】

債権を返済する義務のある人を債務者といいます。

【差し押さえ】

債権者の財産を強制的に取り上げる債権回収の方法です。自動車や給料などさまざまなものが差し押さえの対象になります。

1-2.強制執行はどのような場合おこなう?

強制執行は債権が回収できない場合におこなう手続きです。債権にはさまざまな種類があります。一般的な強制執行のケースについていくつかご紹介しましょう。

【借金や教育費の回収】

借金や教育費などの期限が過ぎても支払いがないときに強制執行で回収します。お金に関しての強制執行では、給料や財産の差し押さえによって支払うのが一般的です。

【不動産の明け渡し・明け渡し】

家賃の滞納や期限が過ぎても物件が引き渡されないなどの場合には、強制的に明け渡し・引き渡し手続きがおこなわれます。

強制執行による差し押さえや明け渡し・引き渡しを債務者は拒否ができないため、確実に債権を回収可能です。

1-3.強制執行の種類

1-3-1.金銭執行

金銭債権は、差し押さえたものを金銭に換えて債権の回収に当てるのが金銭執行の目的です。差し押さえたものが金銭以外の不動産・動産であった場合には、競売などによって金銭に換えて債権の回収に充てます。状況によっては、直接給料を差し押さえることも可能です。

金銭執行は“ネットショップの支払いトラブル”や“家賃の滞納”など債務の支払いがない場合に効果的な手続きといえるでしょう。

1-3-2.非金銭執行

金銭の支払いを目的としない債権を回収するのが非金銭執行です。立ち退きや引き渡しなど金銭以外のものや行為に対して執行する手続きになります。

1-3-3.差し押さえできる財産とは?

強制執行によって差し押さえのできる相手の財産は、不動産・動産・債権など換金できるものであれは、どのようなものでも構いません。債務者がどのような財産を持っているのかに関しては、債権者側で調べる必要があるため調査が必要な場合もあります。

2.強制執行の流れについて

2-1.どのような事情で行われる?

強制執行は“借金による給料の差し押さえ”や“家賃滞納による物件の明け渡し請求”などが身近な手続きです。強制執行は“さまざまな債権を取り戻すことを目的とした法律”であるため、行われる事情はケースによって異なります。強制執行のなかでも、家賃滞納による強制立ち退きなどは非常に身近なものです。

2-1-1.家賃滞納による強制立ち退き

家賃滞納による不動産の立ち退きは“3か月の滞納”が強制立ち退きの目安です。家賃滞納による立ち退きは3か月で強制退去の判例もあります。家賃滞納による強制立ち退きは強制執行のなかでも簡単な手続きです。

賃借人から不服申し立てがあっても3か月以上の家賃滞納の場合、裁判所の申し立てによって強制執行が認められる可能性が高いといえるでしょう。

2-1-2.失踪などによる強制執行

失踪や行方不明など相手と連絡が取れる場合、強制執行までの手続きは少々複雑になります。失踪や行方不明だけでは賃貸借契約の解除に原因にはなりません。

失踪や行方不明の物件に対しての手続きでは、“公示送達”を申し立ててから強制執行をします。公示送達は官報に掲載することで本人に文章を送達したのと同様の効果を得られるという手続きです。公示送達をおこなった後は、通常と同様に賃貸契約解除のための訴訟を起こすことができます。

2-2.強制執行までの流れとは?

2-2-1.強制執行に必要な各種手続きとは?

強制執行までには手続きが多く、申し立てから強制執行まで半年から1年程度の期間が必要になります。円滑に手続きを進めるためにも、強制執行までの流れについて知ることも大切です。

【内容証明郵便による賃貸借契約の解除通知】

強制執行前には、相手に賃貸借契約の解除通知を送付する必要があります。相手が対象となる物件に住んでいれば大きな問題はありません。しかし、引っ越している場合など行方不明の場合には相手の住所を特定する必要があります。失踪や行方不明の場合には“公示送達”などの手続きを利用して通知義務を果たすことが大切です。

強制執行するためには“賃貸借契約の解除通知”が最初に必要な手続きになります。

【訴訟の提起】

賃貸借契約の解除通知によって相手が引っ越せば、その後の手続きは必要ありません。通知後も物件の明け渡しがない場合には“明け渡し訴訟”が必要になります。

家賃滞納を理由とした明け渡し訴訟の場合には、3か月以上の滞納が判決の目安です。

【明け渡しの強制執行】

明け渡しの強制執行が訴訟によって認められた場合には、強制執行に移ることができます。ここまでの手続きでは最短で半年、長くて1年以上の期間が必要です。

【家賃回収のための強制執行】

家賃滞納の強制執行は明け渡しだけでは終わりません。滞納した家賃を回収するための強制執行も大切な手続きです。家賃の回収は“金銭執行”の手続きが行われるため“給料の差し押さえ”や“不動産・動産の差し押さえ”をおこないます。

60万円以下の金銭(家賃)の支払いを請求では少額訴訟”を利用することで短期間で解決可能です。

2-2-2.不服申し立て

強制執行に対して、債務者が納得できない場合には“不服申し立て”によって異議を主張できます。不動産の明け渡しや家賃の滞納に関しては、支払いの有無を確認できる書類があれば問題ありません。

家賃滞納による強制執行の場合にも、債務者が不服申し立てをする可能性もあるため、注意が必要です。不服申し立てがあった場合には、強制執行までの期間はさらに延びる可能性があります。

3.家賃滞納の強制執行はどうやっておこなう?

3-1.強制執行は法的な手段

国が強制力を持っておこなう制度であることから、執行には法的な手続きが必要になります。強制執行には訴訟が必要です。

訴訟というと、手続きが多く面倒なイメージもあります。しかし、家賃滞納による強制執行に関しては比較的に簡単です。弁護士が訴訟のほとんどをおこなうため、自分で裁判所に行く必要はなく手続きもすべて弁護士に任せることができます。家賃滞納による訴訟は開始期日から1週間程度で終わるケースがほとんどです。

3-2.家賃滞納による強制執行に必要なもの

【判決文などの公的文書】

強制執行は拒否できない手続きであるため、実行のためには判決文などの公文書が必要になります。判決文以外にも、和解調書・調停調書・公正証書などでも強制執行は可能です。

強制執行のための公的文書を得るためには、訴訟や和解・調停などの手続きが必要になります。

【差し押さえる財産の情報】

強制執行では“何を差し押さえるのか?”ということを自分で調べる必要があるのです。家賃滞納による強制執行は“滞納分の家賃を取り戻す金銭執行”と“立ち退き・明け渡しなどの非金銭執行”の2種類があります。

立ち退き・明け渡しに関しては、差し押さえる物件の住所などを調査する必要はありません。一方で滞納分の家賃を取り戻す場合には、債務者がどのような財産を所有しているのかを自分で調べる必要があります。強制執行では何を差し押さえるのかというのは大切な情報に足るためしっかりとした調査が必要です。

【裁判所の許可】

必要な条件を満たしたうえで裁判所に申請をし、許可が下りれば強制執行が可能になります。専門的な知識が必要であることから、強制執行までの手続きに関しては弁護士に依頼するというのが一般的です。

3-3.強制執行の問題点とは?

強制執行は確実に債権を回収できるという制度の反面、トラブルの原因になることも多々あります。強制執行は家賃滞納に対する最終手段です。強制執行の問題点についてご紹介しましょう。

【強制執行には時間がかかる?】

強制執行による明け渡しは家賃滞納が始まってから半年~1年ほどの期間が必要です。金銭執行によって滞納した家賃を取り戻すためには、さらに長期化する可能性があります。強制執行は強制力のある制度であるという反面、非常に時間と労力が必要というのが大きな問題点です。

【残留物がトラブルの原因になる】

強制執行による明け渡し請求の多くは、部屋に残留物が残った状態で実行されます。すべての残留物が価値のないゴミであれば問題はないのですが“価値のあるもの”については慎重な対処が必要です。

残留物の価値の判断は、裁判所の執行官が判断するためトラブル回避のためにも指示に従いましょう。

4.強制執行の補助について

4-1.強制執行には補助が必要?

強制執行のなかでも“不動産の明け渡し執行”の場合には、残留物の搬出・運搬や保管など多く作業が必要になります。不動産明け渡しを個人でおこなうのは難しく、多くの作業が必要というのが現実です。強制執行の際には“執行補助者(執行補助業者)”に依頼することで作業負担を軽減することができます。

執行補助者の役割についてご紹介しましょう。

【残留物を管理・保管する】

不動産明け渡しの際に発生する残留物が“価値のあるものである”と判断したものに関しては所有者が取りに来るまで指定保管場所で保管する必要があります。

執行補助者は残留物の搬出から保管場所までの運搬作業の補助をおこなう業者です。

価値のある残留物に関しては一定期間の保存が必要になります。所有者と連絡が取れない、連絡しても取りに来ないという場合には競売によって処分することも可能です。

【残留物の処分・売却をする】

強制執行の執行補助者(執行補助業者)は残留物の搬出・運搬に加えて“残留物の売却手続き”や“無価値物の処分”などをおこないます。残留物の多い物件の強制執行は非常に多くの作業が必要になるため、執行補助者に依頼することが望ましいといえるでしょう。

4-2.残置物について

家賃滞納によって物件の引き渡しをおこなう場合、残留物や遺留品などが生じることがよくあります。強制執行であっても、残留物や遺留品を所有者の同意なしに処分することはできません。物件の明け渡しでは“残留物によるトラブル”が多いため残留物の保管には注意が必要です。こちらの都合で処分してしまった場合には、損害賠償の請求を受ける可能性もあるため、慎重に取り扱う必要があります。

【残留物を処分するためには?】

強制退去後に残留物を処分するためには“執行官による判断”が必要になります。差し押さえた残留物に対して、執行官が価値のないものと判断すれば残留物はゴミとして処分可能です。

【残留物の保管】

家具・電化製品・美術品・貴金属など執行官が価値のあるものと判断した残留物に関しては、所有者の意思が確認できるまでは保管する必要があります。保管する残留品に関しては破損しないように慎重に取り扱わなければなりません。

4-3.強制執行補助業者とは?

4-3-1.強制執行補助業者に依頼するメリット

強制執行は法的な手続きだけではなく、非常に多くの作業が必要になります。家賃滞納による明け渡し強制執行の際には、短時間で残留物を搬出・運搬する必要があるのです。

強制執行を家主だけでするのは非常に難しいといえるでしょう。そこで、強制執行補助業者に依頼することで、強制執行に関する作業負担を大幅に軽減可能です。

強制執行補助業務は“執行官が有価物と判断した残留物の運搬補助”や“無価値と判断した残留物の処分”などの負担の大きな作業の補助業務を行っています。短期間で作業を行わなければならない強制執行において、補強制執行補助業者に依頼するというのは必要不可欠といえるでしょう。

4-3-2.料金について

明け渡し強制執行は部屋の現状によって料金は大きく変化します。料金を節約するためには、残留物の買取可能な業者に選ぶことが重要です。執行官が無価値物と判断したものであっても中古市場で買取可能なものもあります。明け渡し強制執行の料金を節約するためにも買取サービスの利用できる強制執行補助業者を選びましょう。

4-3-3.強制執行業者選びのポイント

【経験豊富な業者を選ぶ】

法によって執行される強制執行の補助を依頼する業者は、後々のトラブルを回避するためにも慎重に選ぶ必要があります。強制執行補助を熟知したスタッフが在籍する業者や弁護士の紹介を受けられる業者を選ぶのも大切なポイントといえるでしょう。

【迅速に作業のできる業者を選ぶ】

強制執行では、執行官に対して手数料を支払います。執行当日は作業時間が決まっており、時間を超過してしまった場合には手数料を追加負担しなければなりません。強制執行では迅速に作業のできる業者を選ぶことも大切なのです。

5.家賃滞納の強制執行でよくある質問

Q:強制執行や債権回収には時効があるのですか?

A:債権には“消滅時効”があるため注意しましょう。債権の消滅時効は債権種類によって時効期間が異なります。

売買や貸付などの民事債権や裁判での確定判決や和解・調停などの時効は10年です。

Q:強制執行は自分でもできる?

A:手続きを自分でおこなうことは可能です。しかし、法律に関する専門知識が必要であることから自分だけでおこなうのは一般的ではありません。

専門家の指導の下で、自分でできることは自分でおこなえば費用の節約ができます。

Q:明け渡し物件の掃除や残留物の処分を依頼したい

A:物件の掃除や残留物の処分などは“強制執行補助業務”をおこなう不用品回収業者に依頼しましょう。強制執行の作業すべてを任せることができるため、手続きや作業にかかる時間を大幅に節約できます。

強制執行補助業者を選ぶ際には、手続きや作業をトータルで対応できる業者を選びましょう。

Q:強制執行を依頼できる弁護士を探している

A:提携弁護士の紹介を受けられる執行補助業業者に依頼・相談してみましょう。補助業者を強制執行の計画段階から選ぶことで、法的な手続きや執行作業を円滑化できます。

Q:強制執行の料金を節約したい

A:強制執行に必要な料金のなかでも残留物の運搬処分費用が大きな負担になります。非常に多くの費用が必要になるケースもあるため、低価格の業者を選ぶことも大切です。残留物をリユース・リサイクルとして有効利用する業者に依頼することで料金を節約できます。

6.まとめ

強制執行は非常に強力な強制力のある手続きです。国が強制力を持っておこなうため訴訟などの複雑な手続きが必要になります。敷居の高い手続きである強制執行ですが、家賃滞納など身近な手続きにおいては、それほど複雑な手続きが必要ありません。

家賃滞納による明け渡し請求では

  • 内容証明郵便による建物明け渡し請求
  • 訴訟による判決
  • 裁判所の許可

という手続きだけで執行可能です。弁護士に依頼すれば、裁判への出廷などもなく手続きは終了します。

家賃滞納による建物の明け渡しでは、法的な手続きよりも強制執行当日におこなう残留物の搬出・運搬や処分などに大きな負担です。強制執行による作業負担は強制執行補助業者に依頼することで大きく軽減できます。家賃の滞納などに不安を抱えている場合には、強制執行補助業者に依頼してみましょう。